|
私が法定成年後見人の事務を通じて得たもの
私自身が法定後見人に選任された経験から、後見人業務はFPが行うのが相応しい、適した仕事と考えています。しかしながら、実際に後見人を経験されたFPは少なく、第三者後見人の殆どが司法書士を始めとする他業の方たちです。超高齢者社会では数多くの第三者後見人を必要としていますので、FPによる後見人が1人でも多くなることを願い、私の事例をお伝えします。
★2002年4月 叔母倒れる
私は法的には、平成14年10月1日に後見人に選任され、平成16年8月の被後見人の葬儀後に事務終了を家庭裁判所に届け出た間の1年10ヶ月間行いました。しかし、実際に後見活動したのはそれ以前の平成14年4月に被後見人である叔母が倒れてからでしたので実質2年3ヶ月でした。
叔母は、配偶者なし、子供なし、姉妹5人の末っ子で67歳。住いの1室を含む新築マンションと他に2棟所有、従業員は本人のみという法人(株式会社と有限会社)を2つ所有しており、新築マンションの建設資金は大手銀行から借入れていました。
そのような中4月のある夜、脳血栓を発症し同居していたお手伝いさんが翌朝発見、救急車で病院に搬送、その後死亡するまでの2年3ヶ月は意識不明なままでした。(当初は数週間の見立てでした)。
当初、重篤で1〜2週間という医師の見立てでしたが、1週間後に長期入院が必要になるとの情報を得ましたので、当人の姉妹4名と私が相談の上、叔母の姉が懇意にしている病院への転院を決定しました。
私が実質の後見人事務に関った最初の仕事が、この懇意な病院にお願いして個室を手配し、転送車を依頼する仕事でした。以降この病院に2年以上お世話になりました。
★資金の流れ解明に大童の日々
次に資金の手当てです。叔母が突然倒れてしまい、何も解りません。叔母の姉妹たちにも何も教えていませんから、私は通帳を頼りに銀行を回りました。銀行は叔母の委任状が無いので、何も教えられない一点張りでした。確かに法律上は、意識が無い=死亡していない⇒正常人と同じ扱いであるのが当たり前ですが、本当に困りました。特に借入れがある銀行は難渋しました。どの口座から引き落としされるのか、その口座への入金をどうするのか等々問題点が続出です。
当時私は企業の役員をしていましたので、致し方なく仕事を休み、法人2社の前年度の決算書、本人の確定申告書、住宅ローンの借入書、預金通帳、各種支払通知書等をもとに、不動産の家賃等⇒管理を委託している不動産会社⇒2法人の収入と支出及びと叔母との貸借⇒叔母の2法人からの収入と年金他の収入⇒借入金の返済⇒経費支払⇒残金というフロー表を作成し、そこに夫々に関る費目ごとの数値を記入しました。
確実を期す為、叔母の顧問税理士さんに面談してこのフロー表と数値の確認等を行いました。この調査の最中に叔母と信託銀行の遺言信託契約書と遺言の公正証書を発見しました。そして、そこに記された信託銀行担当支店を訪問して担当部署の方たちと面談したのですが、「契約が存在することさえも言えない」との回答でした。
★2002年8月 成年後見の申立
このような中、叔母の入院先医師との面談で、さらに長引くことが予想され、このような事態が継続した場合、法的な後見人を立てなければ無理との判断で、叔母の姉妹4人、私と弁護士で対策会議を数回行い、漸く4ヵ月後の8月に成年後見人に私を指名するよう、叔母の姉妹の1人を申立人として、家庭裁判所に申立しました。当時私は企業の役員として勤めていましたが、叔母の姉妹は全員70歳を過ぎ、経理やマンション経営、法人会計が解らない為、私を候補として申立を行いました。
申立後すぐに行うことは、予備審査までに財産目録と収支計画書の作成です、期間は短くこのときは2週間で作成しました。全ての資産(不動産、預貯金、株式・株券、投資信託、プリペイドカード、ゴルフ会員権、貸付金、保険証書、各種契約書等)と負債(銀行借入金等)を書き出します。しかも登記簿謄本、預金通帳、現物証書や通知書等が必要です。預金通帳は8月の猛暑の中、1日かけて数行のATMを周り通帳記入しました。
そして、収支計画書は年間の収入と支出を費目に分け記載します。何しろ叔母から何も聞けない状態で行うので、領収書や年金などの支払通知書が頼りです。また、所有法人との貸し借りも申請時点ものが必要です、これは顧問税理士に依頼して個人事業主分のT/Bを作成いただきました。2法人を叔母1人で切り盛りしていましたから、急遽、司法書士に依頼して代表者を私に変更しました。そして法人の実印は叔母の氏名でしたから、これも私に変更です。そして私が他社の取締役に選任されることは、その時点で役員を勤めている企業の常勤監査役、代表取締役、管理担当取締役等の了解を得て実行しました。
★予備審査
予備審査日に、弁護士、申立人、私3名が出向き、申立の主旨、財産目録、収支試算表の調査に応じました。その際、審査官から、貴金属などは写真にと撮っておくと後のトラブルが避けられますとのアドバイスを受けました。なお、財産目録はその後修正を繰り返しながら、同一事項を3回提出しています。
調査には叔母自身の容態と鑑定書が必要で、聞き取り調査のため調査官が入院先を訪問しましたので、会社を休み立会いを行いました。再起不能・意識の回復も見込めないとの鑑定になりました。また、親族への意向照会もあり、この書類に1人でも否を押されると難題ですので、事前に書類の趣旨説明等の根回しをしています。なにしろ全員70歳を過ぎたものばかりですので、法律用語や内容の説明で手間取りました。
|