2008年4月号より
今月もまた、年初来のサブプライム問題から引き起こされた、投資・運用、分散投資について述べさせて頂きます。
このところ、オールアバウトなどで、お客様から「円高なので、外貨預金を考えているが如何か」、「南アフリカランドの債券を購入したいが?」などのご質問が相次いでいます。この問題を考える際に、「通貨への投資」と「質への投資」、そして「商品の選択」の3つの要素があります。
●
通貨そのものの為替変動を調べ考えてみました。
メディアでの惹起やヘッドラインは「円高」と書かれていますが、内容をよく読むと「ドル安」です。少し前は「円の1弱」といわれていましたが、現在は米ドルの1弱、円の半弱状態でしょうか」。
先ず、年初に比べた現時点の 円を機軸に置いた際の他通貨のレベルを整理してみました。
☆ユーロは相変らず強く、1強に近い状態です。価格は横ばいです。従いましてユーロに対しては「円安」です。
○豪ドルも資源国の強みと高金利政策で円に対しては下げから上げに変化しています。これも「円安」
○ポンドは円に対して、安くなってきました。これは「円安の解消の初期段階」です。
○カナダドル、メキシコペソとシンガポールドルはドルにつれて安くなり、円安が解消されてきています。
○アジアの通貨ではバーツ、ルピアやルピーは大きく下げています。これも円安が解消されてきました。
○南アフリカのランドはドルよりも急落しています。円高が進んでいる通貨の一つです。
☆米ドルに対しては一時95円をつけるなど、急激な円高が進みました。
年初に比べた観点で整理しましたが、円のレベルを考える際には、SDR(米ドル、英ポンド、ユーロ、円の加重平均)、購買力平価比較、ビッグマック指数(マクドナルドのビックマックを買うのに必要な価格)などで考えた場合、1ドルは80円程度とされています。その観点では、まだまだ円安です。(参考日経新聞、読売新聞、野口悠紀雄コラム等)
上記の状況を見渡したときに、我々が持つ金融商品の原資産がどの通貨に属しているのかを考えると同時に、通貨の分散の必要性を痛感します。南アフリカのランド建債券を買われた方は大きな含み損を抱えてしまいました。もし、金利が高いということで、この商品に大きな比率で資産配分されていたら、損失は挽回ができないかも知れません。
通貨は最も効率的な市場と考えられています。効率的な市場では、過去から現在に至るあらゆる要素が市場価格に反映されています。様々な専門家・投資家の考える様々な将来の予想も価格に反映されています。価格が下がるか上がるかは、市場に拘わる人々の知らない情報によって動きます(分かるのはインサイダーだけ)。予想は不可能です。
従いまして、予め通貨や原資産を分散する必要があると考え、お客さまにお勧めするとともに自身も実行しています。
●資産配分の上で金融商品を考えた際には、預金+債券と株式、そして商品や不動産が考えられます。
「質への転換」と騒がれ、債券価格は急騰し株式価格は急落しています。とても分かりやすい分散効果です。過去の例では、何れ債券価格が低下し、株価が上昇します。従いまして、このような時期に株式を損切りで手放すと、反転があった際に、損失だけを抱えてしまうことになります。
株価と商品の関係は少し様相が異なります。通常は株価と切り離され動きになります。従いまして、株と商品を保有する意味があります。しかし、本年年初からの様相は、商品(原油、石炭、レアメタル、金、とうもろこし、小麦等々)に関してはバブルになっています。何れ現在価格は崩落し、需給に応じた価格まで戻ると考えています。但しその時期を中てることができません。
不動産は世界中でバブルが弾けた、弾ける前段階になっており、日本のREIT価格も昨年の最高値に対し40%以上も下落しています。私は居住不動産を保有されている方のREIT購入は、資産を不動産に過剰配分しすぎるためお勧めしていませんでした。また、REITは商用・居住用の不動産を所有し、それらから賃貸料を回収する企業・信託のことです。従いまして、国債等の無リスク商品の利回りに、リスクプレミア大きくのせた利回りが期待できない場合は購入をお勧めできません。
FPからのお便り4月号全文を載せています。宜しければご一読ください。
私の書評です
投資家への一言
(PanRolling社刊 ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著 増沢知美 新美美菜 塩野未佳訳 新「賢明なる投資家」 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 から要訳・引用)
「賢明なる投資家」は1949年に初版が出版されて以来版を重ね、60年近く経った今でも読み継がれている名著です。副題に有るように、パッシブ型投資の手法(インデックスで満足する)とは対極をなす、市場の非効率性に着目した投資方法です。しかしその中でも、以前に紹介した名著と同様の示唆もあり、随時それらを載せて参ります。
第9章投資ファンドへの投資 注解から
賢明な投資家はインデックスファンドが長期的には大半のファンドに勝つということを認識することである。・・・ 唯一、インデックスファンドには大きな欠点がある。それは退屈なことである。バーベキューパーティーの席で、国内トップの成績を誇るファンドをどうやって見つけたかを吹聴事など絶対にできないし、市場平均に勝ったと自慢できることもできない。・・・しかし、年月が経つにつれ、指数連動のコストアドバンテージが高まっていく。インデックスファンドを毎月買い増ししながら20年以上保有していれば、大半のプロの投資家や個人投資家を同じようにアウトパフォームするのはほぼ間違いない。グレアムは晩年、ウォーレン・バフェットがそうしたように、個人投資家にとって最高の選択肢だといってインデックスファンドを賞賛しています。
|